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入試問題分析ー2017年洛南高附中③ー

こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。

2017年洛南高附中の物語


今回は、2017年洛南高附中の物語を取り上げます。
洛南の物語は、登場人物の関係が入り組んでいたり、主人公が一般的な小学生離れしたものであることは少ないです。
主人公は小学6年生と近い年齢であることが多く、またその置かれた状況も、想像しやすいものです。

しかし、設問はこれまでの大問と同じく、見つけにくい抜き出し問題や、ハイレベルな言語事項問題が散見されます。
今回も同じく、しっかりと傾向をつかみ、各設問のレベルを見抜き、取捨選択をする余裕が必要となります。
今回も、各小問ごとにレベルを解説していきましょう。

2017年洛南高附中物語の解説

有川浩さんの『だれもが知ってる小さな国』からの出題でした。
↓ぜひ、全文をご覧ください。

まずは、文章全体の構成をつかみましょう。

男女対抗ドッジボールで、主人公のヒコと、彼が淡い好意を抱くヒメとが残って戦い合うことになった。

ヒコは、夢中になって、ついヒメの顔面にボールをぶつけ、けがをさせてしまう。

ヒコは、ヒメに謝ろうとするが、タイミングをつかめずなかなか謝れない。

自分が「振り向け」と願ったテレパシーが届いたかのように振り向いたヒメに、ヒコは謝ることができた。

以上の構成を理解していると、問題を解きやすくなります。
ある程度でいいですから、文章を一読した時点で、構成をつかもうとする意識を持ちましょう。

(1)の解説

―線④⑧⑪のカタカナを漢字に改めなさい。

洛南は、文章の中の言葉を漢字で書く出題をしますから、難度はそれほど高くはありません。
今回は、どれも訓読みの出題でしたが、中学受験生であれば一度ならずとも書いたことがあるものばかりです。
④「責め」
⑧「速め」
⑪「険しく」
どれも、レベルAです。

(2)の解説

―線①「いやがうえにも」⑩「拍子抜けした」のここでの意味としてふさわしいものを、それぞれ次のア~オの中から一つ選んで、記号で答えなさい。

①「いやがうえにも」
「ここでの意味」を問う問題ではありますが、文脈から意味を推測することが難しいです。知らないと答えることはできません。
答は「ア よりいっそう」となります。レベルはCです。

⑩「拍子抜けした」
文脈から、「拍子抜け」には強いマイナスの意味はないことがわかります。
ここから、ア「…こまった」、イ「がっかり」、エ「あきれた」は選ぶことができないと考えられます。
エの「やわらいだ」というプラスの意味も考えにくい。正解はウ「気勢がそがれてとまどった」となります。レベルはAです。

(3)の解説

―線②「余裕は、吹っ飛んでいた」とありますが、このときの「ぼく」の様子の説明として、次のア~オの中から最もふさわしいものを選んで、記号で答えなさい。
傍線部の四行前に「ヒメを討ち取ったら、ヒメはきっとぼくに感心するにちがいない。そのうち、ぼくはそれしか考えられなくなっていた。」とあります。
この内容を表現している選択肢を選べばよいのです。
正解はエ「勝ってヒメに認めてもらいたい一心で、必死になっている様子」となります。
解答の場所も傍線部と近く、見つけやすい上に、選択肢の変化具合も少ないため、レベルはAです。

(4)の解説

空欄Aにあてはまることばを考えて五字以内で答えなさい。
空欄の前後を確認しましょう。
「ご…ごめん」
ぼくの声は、風船の空気が抜ける音のようにしょぼくれていて、□□□□にしか届かなかった。

ヒコは謝っています。しかし、文章全体の流れから、この時点では、ヒコの一番近くにいたはずのヒメにはその声が届いていません。
では、誰には届いたのでしょうか。答えは、自分自身です。
答は「自分の耳」となります。論理的に解答を導きやすいですが、文章全体の流れと絡む問題ですから、少し難度は上がります。レベルはBです。

(5)の解説

―線③「四方八方」は漢数字をふくんだ四字のことばです。次の□に漢数字をあてはめてそれぞれことばを完成させるとき、□a~□fの和はいくつになりますか。漢数字で答えなさい。
朝□a暮□b
□c死□d生
海□e山□f

一つ一つの四字熟語のレベルはB程度ですが、漢数字の和を答えるということで、三つすべてを知っておかないと正解はできません。
朝三暮四・九死一生・海千山千となり、合計は二〇一七となります。
その年の西暦と同じ数字にするという、算数の計算問題のようなおしゃれな問題でした。

(6)の解説

―線⑤「ぼくも、しゃにむにドリルの漢字を書いていた」とありますが、このときの「ぼく」の様子を、五十字以内で説明しなさい。

「しゃにむに」が難しいですが、文脈から「必死に・まじめに・一生懸命に」という意味であることはわかります。
傍線部の後に「まじめにやらないと、何だかヒメに申し訳が立たないような気がしたのだ」とあり、これが材料だとわかります。
しかし、これだけでは字数が足りません。
必要と思われる説明をつけ足していきましょう。
なぜヒメに申し訳ないのか→ボールをぶつけてけがをさせたから。
様子→必死
以上を足すと、答えは「真面目にドリルをしないと、けがをさせたヒメに申し訳ないと思い、必死に取り組んでいる様子。」となります。
傍線部の直後に材料がありますが、説明をつけ足して構成することが少し難しいため、レベルはBです。

(7)の解説

―線⑥「十分」とありますが、「十分」には次の例のように、異なる読み方もあります。
例 十分後に始める。 水はこれだけあれば十分だ。
次の1~3の空欄には、それぞれ同じ漢字を用いた熟語で読み方の異なるものが入ります。その熟語を答えなさい。
1それは決して□□ではない。
 □□を尽くして天命を待つ。
2□□が背筋を走る。
 □□が関東地方に流れ込む。
3彼は日本画の□□だ。
 □□に家賃を渡す。

1人事 2寒気 3大家
どれも難しい問題です。小学生には思いつきにくいです。
それぞれ、レベルはCです。

(8)の解説

―線⑦「みんな笑ったが、ぼくだけまだ笑えなかった」とありますが、これはどのような様子を表していますか。四十五字以内で説明しなさい。

傍線部を言い換える問題です。
言い換え問題は、傍線部の全てを余すところなく言い換える必要があります。
今回の問題は、「みんな笑ったが」と「ぼくだけまだ笑えなかった」の二つに分け、それぞれを言い換えましょう。
「みんな笑った」→傍線部の直前にある「『次は当てるからね』そして、指鉄砲をぼくに向けて、バンと打った」とあります。このヒメの様子に皆は笑ったわけです。
このままでは使いにくいので、「ヒメがおどけた行動をしたことがおもしろく笑った」と言い換えましょう。
「ぼくだけまだ笑えなかった」→傍線部の後に「ごめんは、結局言いそびれた」とあります。
ここを使い、「自分はまだヒメに謝っていないため、心苦しい様子」となります。
以上2点をまとめて、「ヒメがおどけたことをみんなが面白く思い笑った中、ヒコはヒメに謝れていないので心苦しい様子。」となります。
傍線部の直前と直後を使う問題ですが、変化の度合いが大きいため、レベルはBです。

(9)の解説

―線⑨「今だ」とありますが、「ぼく」はなぜ「今」だと思ったのですか。これを説明したものとして、次のア~オ の中から最もふさわしいものを選んで、記号で答えなさい。
傍線部の直後に「今、追いかけて、ごめんねと言ってしまえば。ヒメは道を曲がっていくし、ぼくはこのまままっすぐだから、自然に別れられる」とありますので、これを使って答えましょう。
正解は「エ ヒメと別れる場所にさしかかった今謝れば、謝った後のことをあれこれと考えなくてもよくなるから。」となります。傍線部の近くに材料があり、変化の度合いも少ないため、レベルはAです。

(10)の解説

―線⑫「なぁんだ」とありますが、「ヒメ」は何がわかったというのですか。これを説明した次の文の空欄1・空欄2にあてはまることばを、それぞれ字数に合わせて、文章中からぬき出して答えなさい。

ヒコが1□□□□□□□□(八字)たわけではなく、2□□□□□□□□□(九字)たことについて謝ったのだということ。

傍線部の周りから、1の方には「髪の毛を引っ張ったのがヒコだった」的な内容が入ると推測できます。
2の方には「ボールをぶつけた」的内容であると推測できます。
1の答えは「髪の毛を引っ張っ」となります。場所の推測も容易ですから、レベルはAです。
2の答えは「顔面にボールを当て」となります。場所の推測が難しいですから、レベルはBです。

(11)の解説

空欄B~空欄Dにあてはまることばをそれぞれ文章中から解答欄の字数に合わせてぬき出して答えなさい。

(文章中の空欄の近辺)
B□□□□□(五字)は、すっかり取れていた。
キッとこちらを振り向いた怒った顔も、C□□□(三字)みたいだったなと思った。
考えてみれば、このとき、転校の日の朝以来、初めてヒメとD□□□(三字)でしゃべった。

ヒメの顔を見て考えたことが入ります。
空欄Bの後に「取れていた」とありますから、「ティッシュ」だとわかります。
抜き出し問題として、文章に戻らなくても、正解を書けた受験生が多いでしょう。レベルはAです。
空欄Cは、ヒメの顔を何かに例えているのだとわかります。答は「お人形」です。
空欄Bよりも内容が推測しにくいので、レベルはBです。
空欄Dは、「二人で」的な内容であることは推測できます。しかし、場所の推測はほぼ不可能ですから、しらみつぶしに文章全体を探していく必要があります。レベルはCです。

おわりに

いかがでしょうか?
洛南の物語は、文章全体の内容はわかりやすいことが多いのですが、設問は他と同じく、レベルA~Cの問題が入り乱れています。
しかも、知らないと答えられない言語事項の問題が入っているため、受験生は焦ってしまい、時間をロスする可能性もあります。

冷静に、解ける問題と解けない問題を判断し、一点でも多く得点することができるように、傾向をつかみ、対策を練りましょう。
過去問題集・赤本をもとに、しっかりと傾向をつかんでくださいね!

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