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入試問題分析ー2017年灘中③ー

こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。

2017年灘中2日目の詩

今回は、2017年の灘中1日目の大問二を取り上げます。
灘中の特徴を上げるとすれば、「言語事項と記述」ということになるでしょう。
何十年間も同じ傾向で入試を続ける全国最難関の灘中。
そこには、語彙力の豊富さこそが国語の基礎であり、それを表現することが国語の中心であるという強い意志が感じられます。
今回も、各小問ごとにレベルを解説していきましょう。

2017年灘中1日目の大問三の解説

山崎るり子さんの「詩」からの出題でした。
以前の「詩の歩き方」と題した記事で、この詩の解説を行いました。
↓ぜひそちらもご覧ください。
www.otasukekokugo.com
こちらの記事では、詩そのものの読解を行っています。
詩は、与えられる情報が物語や論説・随筆よりも圧倒的に少ないため、詩全体の理解ができなければ、設問に対応することができません。
今回は、小問ごとに解説をしていきましょう。

問一の解説

―線部1「また会おうと木は倒れた」とありますが、これは何を表していますか。最も適当なものをア~オから選び、記号で答えなさい。

傍線部の前にある第一連には、高くなりすぎた木がおじいさんに切られ、くりかえし朝がきた後に切り株から新たな芽が出てきた描写があります。
そして第二連では、また大きくなってきた木がおじいさんに切られるのです。
ここから、傍線部の「また会おう」という木のセリフは、「何度も生えてくる」という意味であるとわかります。
答は、イの「切り株から芽吹き、時間をかけてまた立派な木に生長すること」となります。
詩全体の理解が不十分であれば、アの「おじいさんの死後にあの世で再会する」やエの「おじいさんを敵としてうらんでいる」、オの「木のたましいはその場に残っている」などにひっかかるでしょう。
とはいえ、すぐ前の連を材料にして考えると正解できます。
また、選択肢の変化は大きいですが、詩全体の理解をもとに消去法が有効に使えるので、レベルはBです。

問二の解説

―線部2「おじいさんは何も言わなかった」とありますが、このとき「おじいさん」が「何も言わなかった」のはなぜですか。理由を答えなさい。

おじいさんは、「また会おうと木は倒れた」という木のセリフに対して「何も言わなかった」のです。
ここから、おじいさんが返事をできなかったのは、「また会うことができないから」だということがわかります。
なぜ会うことができなくなるのか。それは「じきに死ぬから」なのです。
答は「自分はじきに死んでしまうため、次に木が大きく生長した姿を見られないと思っているから。」となります。
詩の内容をもとに考える問題ですが、省略された内容にまで踏み込んで記述しなければならないため、難度は高いです。
レベルはCです。

問三の解説

―線部3「どんどん暗くなる部屋」とありますが、「部屋」が「どんどん暗くなる」のはなぜですか。理由を答えなさい。

直前の連に「木は伸びていった/枝を広げ葉を広げ/高く高くどこまでも/伸びていった」とあります。
ここから、木が切られることなく、どんどんと生長していった様子が読み取れます。
傍線部にある「どんどん暗くなる部屋」の原因は、伸びていった木の枝や葉により、太陽の光がさえぎられているからなのですね。
答は「木が生長し、部屋に入る光をさえぎっているから。」となります。
詩全体の主題をつかんで「しまった」ことにより、「暗くなる」という内容をおじいさんの死とつなげて考えてしまう可能性があります。
この問題も、問二と同じく省略された内容にまで踏み込んで記述しなければならないため、難度は高いです。レベルはCです。

問四の解説

―線部4「木といっしょにどこまでも/伸びていけた」とありますが、これはおじいさんのどのような想いを表していますか。最も適当なものを次のア~オから選び、記号で答えなさい。

傍線部の「いっしょに」「伸びていけた」という表現から、おじいさんはプラスの想いを持っていることがわかります。
ここから、選択肢イ「おびえている」やエ「同情している」、オ「悔やんでいる」は選べません。
また、アの「早く自分も元気になって」は、主題から大きく外れています。
正解はウ「体は動かなくなったが、生長する木に一体感をおぼえ、うれしく思っている。」となります。
材料は傍線部から近いですが、変化は大きいです。しかし、消去法が有効ですから、レベルBです。

問五の解説

―線部5「枝で窓をつきやぶり/根で家をかたむかせた」からは、木の生長の様子以外に、おじいさんについてどのようなことがわかりますか。簡潔に答えなさい。

おじいさんが住んでいた家がかたむくということは、その家に住むことができなくなったということです。
ここまでの設問理解からも、「家がかたむく」ことが暗示していることは明確です。
答は「死んでしまったということ」です。
詩から間接的に読み取る必要がありますが、比較的理解しやすいので、レベルはBです。

問六の解説

作者はこの詩で何を表現しようとしていますか。最も適当なものを次のア~オから選び、記号で答えなさい。

「くり返しくり返し朝がきて」「おじいさんの分の場所には/木が大きく緑を広げ」「北の町から若者が/ノコギリをかついでやってくる」とあります。
おじいさんの死後、あらたに若者がやってきたことから、「それぞれの生命がその役目を終え、次の生命にバトンを渡していく」という主題をつかみましょう。
答は、オの「つながり合う生命と時の流れ」となります。
主題の理解が不十分だと、イの「木とおじいさんとの厚い友情」や「人の一生の短さとはかなさ」などにひっかかるでしょう。
レベルはBです。

おわりに

いかがでしょうか?
灘の詩は、主題をしっかりとつかんだ上でないと、記述問題に対応することはできません。
詩の中にある情報をつなぎ合わせ、表面には書いていない本質にせまる。
そのような読解姿勢が求められるのです。

「生命のつながり」
「寂しい少年への共感」
「幼子の純粋さ」
「人生の晩年のさみしさ」
以上のように、灘中の詩で問われる主題は様々です。
いずれも、人生経験の少ない小学生には難しいものばかりです。
社会のリーダーとして成長するために必要な、やさしさを持っているか。
広い視点を持っているか。
もし持っていなかったとしても、入試という場所でその詩を師として主題を理解し、成長することができるか。
灘中入試伝統の大問三の詩からは、そのようなメッセージを感じることができるのです。

過去問を使い、詩の主題をつかむことに慣れていきましょう!

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皆様とお子様が、笑顔で中学入試を迎えられますように。

お助け中学入試国語 ゆり