物語の細部読解part2「心情その1」
こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。
前回より「物語の細部読解」と題して、各ジャンルの文章においてどのような出題がされるかをお話していっています。
物語の中心は「心情」!
今回は「心情(気持ち)」について。
物語文理解の中心とも言える単元です。
例えば皆様は、財布を落とした時はどんな気持ちになるでしょうか?
おそらく、あせり・不安・後悔などを感じられると思います。
それでは、落とした財布が見つかったら?
きっと、安心・喜び・感謝などの気持ちを感じられることでしょう。
物語文における気持ちの問題とは、このような「出来事となる理由→気持ち」の流れをとらえているかどうかを聞くものなのです。
これを「心情の流れ」と言います。
詳しく説明しましょう。
心情の流れをつかもう
物語文の中には、登場人物の心が動く様々な出来事があります。
その出来事によって、登場人物の心の中に心情が発生する。
しかし、それだけではありません。
我々の心の中に気持ちが発生すると、必ずそれが「表に現れる」表現となって、見える形になります。
我々は、その人の「表情・セリフ・行動など」をもとに、目に見えないはずの気持ちを推し量っているのですね。
まとめると、こうです。
①理由となる出来事(本文中にある)
↓
②心情(本文中に直接書いていない)
↓
③心情表現(本文中にある)
心情の問題は、この③の部分に傍線が引いてあることがほとんどです。
そして、答えになるのは、③に至るまでの心情の流れ。つまり、①と②をセットにして書けばいいのですね。
心情の基本形
例えば…
問 「私は泣いた」(③の心情表現です)とありますが、なぜ泣いたのですか?
という問いに対して、
答 「財布を無くしてしまったので、悲しいから。」(①+②です)
となるわけです。
心情の発展
これを少し発展させましょう。
「財布を無くしてしまった」のに「悲しくない」上に「せいせいした顔つき」である状態を想像してみましょう。
ひょっとして「100円均一で今日買ったばかり」かもしれませんし「もう捨てようと思っていた」かもしれませんね。
「100円で買ったが、自分に合わないと思い直してもう捨てようと思っていた財布を無くしたので、ちょうど良かったとせいせいした気持ち。」となるわけです。
次に「財布を無くしてしまった」を「絶望」という強いマイナスの心情にするにはどうしたら良いでしょう?
その人が「崩れ落ちる」ような心情表現を見せているのです。
その財布が「世界に一つしかないオーダーメイド」だったとしたら?
さらに「父の形見だった」としたら?
「世界に一つしかないオーダーメイドであり、父の形見でもある財布を無くしてしまい、絶望する気持ち。」となるわけです。
どちらも「財布を無くしてしまった」という理由でしたが、異なる前提を付けることで、心情と心情表現ががらりと変わりました。
心情の応用
さらに応用してみましょう。
「全校生徒の前に立たされて、校長先生にほめられた」ことがあるとしましょう。
「顔を赤くしてうつむきつつも、はにかんで笑う」表情になっているとしたら?
単に「うれしい」だけで終わりそうには無いですね。「恥ずかしい」も同時に生まれそうです。
「倒れていたおばあさんを助けたところ、全校生徒の前に立たされて、校長先生にほめられたため、うれしくも恥ずかしい気持ち。」となります。
58字と、かなり長くなってきましたね。
このように、人は複数の心情を同時に感じることもあるのです。
他にも…
「自分が好きな人と嫌いな人が同時にほめられた」ことで「なんとも言えないような、複雑な表情」になっているとしたら?
二つの出来事が並行して起こっているのです。
このときは「ほこりに思いつつも、ねたむ」となります。
まとめると「自分が好きな人と嫌いな人が同時にほめられたため、ほこりに思いつつも、ねたむ気持ち。」となるのです。
このように、心情とは ①理由となる出来事 と、③心情表現 の間で決定するのです。
我々は、人の気持ちを読み取ることができるわけではありません。
①の理由と、③の心情表現の間に挟まったなら、常識的に考えて、大多数の人はこう感じるだろうという②の心情を推し量ることしかできないのです。
おわりに
いかがでしょうか?
物語文が苦手な子の保護者の方が「うちの子は気持ちが読み取れないんです」とおっしゃることがありますが、正確にいうと「心情の流れの論理関係に習熟していない」という感じですね。
そう考えると、救いがあると思いませんか?
なぜなら、論理関係の習熟に問題があるということは、その訓練をすればきちんと解答を作ることができるようになると考えられるからです。
様々なパターンがある心情の流れの問題。
次回は、入試問題ではどのような出題があるかをご紹介したいと思います。
お楽しみに!
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皆様とお子様が、笑顔で中学入試を迎えられますように。
お助け中学入試国語 ゆり