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詩の歩き方

こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。

 

詩の読解方法とは?

「読解の歩き方」シリーズ最後は「詩の歩き方」です。


なぜ詩が最後かというと…
理由は簡単。
そもそも、詩を出題する学校自体がかなり少ないからです。


例を挙げても、毎年のように出題がなされるのは…
・神戸女学院
・灘
くらいなのです。昔はもう少しあったのですが…。


奇しくも、関西における男子校と女子校の最高峰の学校に出題があるわけです。

詩というと「感性で読む」と考えて、きちんとした指導がなされないことが残念ながら多いようです。
しかし、実は詩こそが論理的思考の極致とも言えるのです!
 
なぜなら…
詩とは「行間を正確に読む」ことが何より大切だからです。
言葉を削り落とし、磨き、限界まで単純化した言葉の結晶。それが詩なのですね。


当然、物語では語られるはずの状況説明が省かれることになります。
詩の読解では、その部分も含めてすべてを理解しなくてはなりません。
 

具体的に読解してみましょう!

平成二十九年度 灘中の出題を例にとり、解説してみましょう。
山崎るり子さんの「春」からの出題でした。
「切られるのか。また生えてくるよ」とおじいさんに問う木に対して、おじいさんは「高くなりすぎた。また切るよ」と返します。


「くり返しくり返し朝が来て…」と書かれ、時間の経過が想像されます。
大きくなった木は、おじいさんの家の窓をつきやぶり、根で家をかたむかせます。


最後は「北の町から若者が ノコギリをかついでやってくる」と、新たな展開を匂わせて終わります。
 
ここで、詩の理解の核となる事態が隠された表現を見てみましょう。


「また会おうと木は倒れた おじいさんは何も言わなかった」


「おじいさんは家から出てこなかった」


「おじいさんはふとんの中で どんどん暗くなる部屋で 伸びていく木を想った」


さて、皆さんはここから状況を把握することができますか?
受験生は、選択問題のミスリードにごまかされずに、ズバリと状況を記述でまとめなければなりません。
それは「おじいさんが亡くなった」ということ。
 
詩の中に散りばめられた部品を元に、導かれる状況をはじき出す。
想像力・論理性をフルに生かさないと太刀打ちできないのですね。
 
最終問題は「作者はこの詩で何を表現しようとしていますか」と選択形式で問います。


表面だけをとらえてしまうと「木とおじいさんとの厚い友情」や「人の一生の短さとはかなさ」にひっかかります。


表現技法の一つである「反復法」や最後の「若者」の登場に目を向けられれば、答えは「連環」だということに気が付きます。


模範解答は「つながり合う生命と時の流れ」となるのですね。

なんという遠大なテーマ!
 ある種達観したような生命観を突きつけられた受験生は、この詩の本質にたどり着けたのでしょうか…。

 

詩の読解レベルアップのためには?

では、詩の読解レベルを上げるにはどうすればよいのでしょうか。

三点に分けてご説明いたします。

 

状況の省略をつかむ

まずは、詩独特の「状況の省略」に慣れる必要があります。


そのために「解説文」のついた詩の読解練習を繰り返しましょう。
解説文は、詩の背景や状況を説明して、解釈にまで踏み込んでくれていることが多く、詩の読解が苦手な子には非常に役に立ちます。


詩の単元を塾で学習する時には、テキストのいずれかには解説文がついていると思うので、しっかりと読み込み、何が省略されているかをつかみましょう。

 

 表現技法をつかむ

次に「表現技法」を頭に入れてください。
表現技法とは、いわゆる「修辞法」のことです。詩は言葉を極限まで削っているため、残った言葉を飾ることで表現に深みを持たせることが多いのです。


そして、表現技法の使われているところは、たいていが詩の主題の中心なのです。
なぜなら、作者は自分の伝えたいことを「大げさに表現したくなる」からです。
逆に言うと、表現技法を正しくつかめば、作者の言いたいことである「主題」を理解しやすくなるのですね。

 

作者の目線をつかむ

 最後に、その詩を書いた「作者の目線に立つ」ことを学習しましょう。
小学生は「客観視」が苦手です。
よくいるのが、物語文を読んだとき「僕はこんなことしない!」などのように、自分の世界に物語を引きずり込んでしまうタイプの子です。


自分の世界を広げるのではなく、物語を自分の段階に落としてしか理解できない。
となると、作者の本心を理解できないことが多いのですね。
第三者的な立場で詩を俯瞰するために、作者がどういう立場の人で、どのような心情で、何をみているのかをつかむようにしてみましょう。

 

まとめ

小学生(特に男児)には理解しにくい、ロマンチックな理解を求められることの多い詩ですが、その分お子様の国語的レベルをぐんと引き上げてくれる教材でもあります。


ぜひ、良問にたくさん触れ、親子で文学の扉を開いていただきたいと思います!


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皆様とお子様が、笑顔で中学入試を迎えられますように。

お助け中学入試国語 ゆり