物語文の読解授業、全部見せます。
こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。
力の付く授業には秘密がある!
ここまで、「物語文」「論説・説明文」「詩」の三種類の文章ジャンルに分けて、読解の手法についてお話してきました。
次は、塾の教室で授業をするときは、どのような手法を用いて子ども達に文章を理解させるかをお話ししたいと思います。
私は、これまで二つの大手中学受験専門塾に属してきました。
ありがたいことに、手前味噌ですが、そのどちらの会社でも最高ランクの授業評価を頂くことができました。
先輩の授業を真似ることから始まり、それを肉体化し、再構成し、発展させる。
私は、工夫を続けることが先生の資質の一つだと思っているので、そこは曲げずに、授業を磨き続けてきました。
授業をしているときに気を付けていることは…
・正しく読解させる
・自分の言葉で表現させる
・受け身の授業にしない
・とにかく書かせる
・国語は実技科目である!
ということです。
講義形式で授業をしていても、小学生に力をつけることはできません。
授業中にヒントをちりばめつつ、自分の力で授業時間内に読解を完成させる。
それを、自分の手で表現させる。
時には単純化し、時には細密に表現させる。
そんな試行錯誤の中で生まれてきたフォーマットをご紹介したいと思います。
物語文の読解授業のフォーマットは?
今回は、物語文の授業のフォーマットを紹介していきます。
授業の予習では、次に紹介するフォーマットのうち、どれを使うべきか・どれを使えそうか、その回の達成目的に合うものはどれかを考え、文章と受け持ちクラスの子たちの力量に合わせて応用していくのです。
場面をつかむために
家族間のトラブルや人間関係が問題になる場合は、以下のような家系図を書かせてみると、状況がしっかり想像できているかどうかがわかるので、おすすめです。
読めていない子だと、父親と子どもの名前が反対だったり、祖父が子どものところに入っていたりと、とんでもない状態になっていたりします。
一から書かせてもいいですし、ハコだけ用意しておいて、その中に人物を入れさせてもいいですね。
お子様のレベル・文章のレベルによって工夫してみましょう。
次に、場面を把握するために使う最も基本となるフォーマットが以下のものです。
まず、各場面の「いつ・どこで・だれが・どうした」だけを板書していきます。そして、その下にそれぞれの情報を入れさせます。きちんと場面の把握ができている子は、すらすらと記入できますよ。
逆に、記入ができない場合は、想像がうまくいっていません。
それぞれの情報が、文章のどこにあるかを見つけ、印を入れておきましょう。
ほかにも、友人関係など、家族以外の人間関係をつかませるために、人間関係を図に表すこともあります。特に、人数が多い物語では必ず押さえておきたいところです。
ノートを一ページ使用して、大きく書きましょう。
これも、ハコや矢印は先に用意しておき、人物や関係をあとで入れるのもいい方法です。
ここまでしっかりと人間関係がわかっていれば、それだけで解ける問題も多いです。
逆に言えば、このような「外側」の情報がわかっていない状態で、いくら問題を解いても、正解にはたどり着かないということです。
心情をつかむために
以下の流れを利用して、心情とその理由を記述させます。
文章の中で、人物の心情表現が出てくるたびに、記述形式で心情と理由を記述させてみましょう。「~になったのはなぜ?50字以内で書こう」「~のときの気持ちは?60字以内で書こう」といった問題をどんどん出して、どんどん書かせていきます。
すると、心情の理由は、ー線部からはそれほど遠くないところにあることがわかってきます。
野球でいうところの、ノックのような形ですね。
頭と体で、心情の流れをつかませていきます。
心情の変化をつかませるために
以下のような、心情の変化を記述させるのも効果的です。
「はじめは、~な理由で…な気持ちだったのが、~をきっかけとして、~な理由で…な気持ちになった。」という形で記述させていきます。
100字前後の長い記述を作ることができる上、型さえ身につけば、長さの割にすらすらと記述できるようになるので、苦手意識をなくさせるためにもよく使う方法です。
字数制限を無くせば、苦手な子も何とか答えを作ろうとしてくれるので、書いてくれたものにコメントとヒントを伝えながら、模範解答に近づけていく感じです。
また、「心情変化の流れ」をつかませるのに、主人公の心情語だけを流れに合わせて板書しておいて、それぞれの理由を見つけさせて、下に書いていかせるのもよく使う方法です。
主題をつかむために
まず初めに、「この文章の主題を5文字でまとめて!」といった質問を板書し、いろいろと考えさせます。
面白解答がいろいろ出てきますが、すべて切って捨てて、できるだけ自分で考えさせます。
その後、少しずつヒントを出しながら、最終的に「成長」や「回復」などの主題の言葉が出てきたところで、次はそれを具体化する質問をします。
「主人公はどのように成長した?100字以内で書こう!」といった形ですね。
「はじめは〜だったのが、…をきっかけとして〜になった」という型に本文の内容を当てはめられるようになっただけで、かなりの問題が正解できるようになります。
なぜなら、主題とは、本文全体を通して作者が読者に最も伝えたいことであり、その主題に至るまでの流れも、当然作者は理解して欲しい所なので、作問者は問題にせざるを得ないからです。
下に、具体例を載せてみました。参考になさってくださいね。
以下のような形で、成長のメカニズムを記述させることも多いです。
まず、「主人公の成長」をつかませておいて、「以前は~なマイナスの状態だったのが、…をきっかけとして、~ということに気が付き、プラスの状態になった」のような形です。
ただし、成長には「喪失感・悲しみ」を伴うということもつかんでおかなければなりません。
成長すると、成長前の姿に戻ることはできません。大人は子供に戻ることはできないのです。
おわりに
いかがでしょうか?
実際の授業では、これらの問題を子ども達に与え、答えを書いてくれたら、その都度採点をしに行きます。
正解すれば次の段階の質問をして、解説をして…を繰り返して、最終的な文章理解を目指すわけです。
高いレベルで文章理解が成立すれば、あとはあまり苦労しなくても、問題に答えてくれます。
「なんとなく答えがわかっちゃう」という、理想的な状態になるわけです。
その後、それでも理解が分かれそうな難しい問題のみ、設問の解説をするのです。
様々な文章の形がありますから、これらがそのまま使えるとは限りません。
文章の形に合わせてこれらを再構成し、授業を展開していくわけです。
以上のような内容が理解できたり、書けるようになったりすれば、かなり文章を読み込んでいる状態になります。
ぜひ、普段の勉強にも取り入れていただきたいと思います!
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皆様とお子様が、笑顔で中学入試を迎えられますように。
お助け中学入試国語 ゆり