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抜き出し問題part2「抜き出しの基本」ー塾で教える解法、全部見せますー

こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。

抜き出し問題はどう考える?

前回は、「抜き出し問題には関わるな!」というテーマでお話をしました。
抜き出し問題は、非常にバランスが難しい問題です。
答えの材料になる場所が、傍線部と近すぎるとすぐに見つかってしまい、点差をつけることができません。
一方で、傍線部から遠く、さらにどこにあるかの推測ができないような問題であれば、いたずらに時間を空費するだけの悪問になってしまいます。
ですから、もし1分間考えても糸口が見つからないようであれば、いったん撤退するほうがよいと思います。
とはいえ、すべての抜き出し問題が悪問というわけではないのが難しいところです。
1点でも多く得点をしなければならないテストの場面では、すべての抜き出し問題に対して撤退することはできません。
正しい作法を身に付けることで、悪問とそうでない問題を見分けることもできるのです。
今回は、抜き出し問題を考えるときの作法をお話ししたいと思います!

抜き出し問題の基本

まず理解したいことは…
「抜き出しも選択肢も記述も、入り口は同じ!」
ということです。
以前もお話しした内容なのですが、読解問題を解くときは…

①答えの内容を推測する
②答えの場所を推測する
③本文から使えそうな場所をチェックする
④形式(記述・抜出・選択)に合わせて答える

という流れで考える必要があるのです。

ですから、抜き出し問題だからといって、特別な考え方をするわけではありません。
上記の流れの①~③までは、どの形式の問題も全く同じなのです。
抜き出し問題は、答えの場所さえ発見できれば、あとは誤字脱字に気をつけてそのままコピーするだけなので、最終ステップに難しさはありません。
その代わりに、①と②のステップで難易度調整をすることが多いため、きちんとした作法を身に付けておかないと、正解にはたどり着けないのです。

入試問題を使って

実際の入試問題を使って、抜き出し問題の正しい解法を解説したいと思います。

2017年洛南高附中より

(9)―線④「この不思議な二重唱」とは、具体的にはどういうことですか。それが分かる一文を文章中からぬき出し、最初の五字で答えなさい。(、。は字数に数えます)

内容の推測をする

まずは「内容の推測」について考えましょう。
傍線部で与えられた部分の分析を始めます。
「この不思議な二重唱」とあります。
「二重唱」という部分から、答えの内容には「二人」が「歌っている」という内容が入っていると推測できます。
「二人」とは、「カラスの研究者である筆者」と「カラス」のことを示しています。
「不思議な」という部分から、答えの内容には通常ではありえないようなことが書かれていると推測できます。
さらに「具体的には」という問題条件から、筆者がカラスの鳴きまねをしたとき、カラスがその調子に応えて同じようなリズムで鳴いたという描写が答えの内容であると考えられます。
ここまでが、「内容の推測をする」という作業です。

場所の推測をする

次に、場所の推測をしましょう。
答えがある場所の推測をするためには、前もって、文章全体の構成をつかんでおく必要があります。
「文章のどこに何が書いてあったか」をつかんでおくと、答えのある場所は容易に推測できるということです。
文章構成については、以前の記事でお話ししていますので、参考になさって下さいね。
論説の細部読解part5「文章構成」 - ゆりのお助け中学入試国語!

与えられた部分の初めに「この」という指示語があるため、傍線部の直前部分に答えがあると推測できます。
しかし、指示語のセオリー通り、傍線部の直前に答えがあるとは考えにくいです。
それでは、すぐに答えが見つかってしまいますし、「カラスはこちらの音声を認識した上で、その音声に反応している―つまり、私の鳴き真似に対して返事をしているのではないか。」という内容は、「具体的」という条件とも合いません。
答えがあると考えられる場所は、筆者がカラスの鳴き真似をしている部分、つまり、傍線部がある前の三段落だと考えられます。
これで、「場所の推測をする」作業が終わりました。

答えを探す

「作者とカラスの両者が鳴いて、共鳴している」という具体的内容を、傍線部の前の三段落から探すという方向性が決まったので、あとはその方向性に合うものを探すだけです。
内容の推測も、場所の推測も比較的容易にできたため、それほど難しくはありません。
答えは、「こちらが四声鳴けば向こうも四声鳴き、『カー、カー、カアカア』と鳴けば向こうも『カー、カー、カアカア』などと途中で調子を変えて鳴く。」という部分だと考えられました。
この部分であれば、内容・場所ともに、推測したものと合っています。
問題条件に「最初の五字で答えなさい」とありますので、一文の初めの五文字を間違えずに抜き出しましょう。
答えは「こちらが四」となります。

おわりに

いかがでしょうか?
抜き出し問題とは、「内容の推測をする」ことと「場所の推測をする」ことを正しくすれば、きちんと正解にたどり着くことができるのです。
今回の例のように、推測がすぐにできた場合は、答えを探しに行く価値があります。
ただし、もしもどちらかの推測ができなかった場合は、勇気を出して撤退しましょう。
撤退するか否かの判断力は、きちんとした手順で考え続け、解答に至る筋道を整理し続けた先に身につくものです。
ぜひ、一問一問の考え直しを大切にしてくださいね。

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お助け中学入試国語 ゆり