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論説の細部読解part2「指示語」

こんにちは!

お助け中学入試国語 ゆりです。

指示語は100パーセント正解できる!

さて、今回は論説の細部読解の二回目。指示語の解法についてお話ししたいと思います。

指示語とは別名「こそあどことば」とも言います。

「これ・それ・あれ・どれ」や「こちら・そちら・あちら・どちら」のように、前に話されたことの繰り返しを避けるために使用する言葉です。

指示語の問題は、記述形式で問われることが多いです。

なぜなら、指示語とは先ほど述べたように「繰り返しを避けるために使用する言葉」ですから、記述形式にしたときは、本文中の材料をそのまま使用するため、模範解答と受験生の解答のズレが少なくなるので、採点をしやすいからです。

しかし、裏を返せばそれは「模範解答とずれてしまえば、大きな減点になる」ということでもあるのです。

ぜひ、正しい解法を身に付け、指示語の正答率100パーセントを目指しましょう!

絶対正解できる指示語の解法紹介

さて、まずは基本的な解法の紹介から。

指示語の問題は、どう考えるの?という質問を教室で行うと、次のように返事が返ってくることがあります。

「指示語の前に答えがある!」

確かに、指示語の指し示す部分は、その性質上、直前にあることが多いのですが、これでは完璧に正しい考え方であるとは言えません。

 

次の例をもとに考えてみましょう。

私は、お昼にカレーとサラダとアイスクリームのセットを頼んだ。

それは、熱くて辛かったが、とてもおいしかった。

→「それ」とは何を指しますか?という問題ですね。

「指示語の直前」が答えであれば「お昼に頼んだカレーとサラダとアイスクリームのセット」が答えになります。

しかし、そう答えてしまうと、流れに合いません。

正しい考え方に当てはめてみましょう。

 ①指示語を含む一文をすべてチェックしましょう。

→「それは、熱くて辛かったが、とてもおいしかった。」から、「熱くて辛かった」という情報が得られました。

 

②指示語を含む一文から得た情報と合う内容を、指示語の前から探しましょう。

→「お昼にカレーとサラダとアイスクリーム…」とありますが「熱くて辛かった」という情報と合うのは「カレー」だけです。答えの中心が判明しました。

 

③見つけた答えを、指示語に当てはめてみて、文がつながるかどうかを確認しましょう。

→「カレーは、熱くて辛かったが、とてもおいしかった。」となり、「カレー」が正解になるわけです。もしも字数制限が15字以内だったとすると、答えの中心である「カレー」を最後において、その前にどのようなカレーだったのかを足していけば良いのです。

答えは「お昼に頼んだセットの中のカレー」となるわけですね。

 

もしも機械的に指示語の直前を答えだと考えていると、次のような場合に対応できません。

例を挙げて説明しましょう。

 

私は、彼のことが好きだ。なぜなら、最近の若者に多い、自分のことだけを考えてほかの人のことを考えないような人物とは違い、どんな人に対しても分け隔てなく優しいし、正義感が強いからだ。私は、自分のそんな気持ちを彼に伝えたいと思う。

となったとき、問題を機械的にとらえて、「そんな気持ち」の直前だけを見れば、答えになりませんね。

指示語を含む一文をきちんと読めば、答えは「彼のことが好きだという私の気持ち」ということになります。

文章は「つねにこうなる」わけでなく、「ゆらぎ」の中に存在します。

閾値を超えると意味不明・論理破綻となってしまいます。

作者によって「ゆらぎ」の幅は様々ですが、その「ゆらぎ」の許容幅を学ぶのが国語の一側面なのですね。

入試問題紹介ー指示語ー

さて、入試問題を例にとってみましょう。

2017年関大第一中より

―線部③「こんな状態」とありますが、これにあてはまらないものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

→「あてはまらない」という条件を見落とさないようにしましょう。

―線部を含む一文とその周辺をよく読むと「こんな状態をきみはどう思うだろう。どう見たってフェアじゃないよね」とあります。

「フェアじゃない」は「マイナスである」という状態です。だれにとってマイナスなのかというと「途上国の人達にとってマイナスである」のです。

あとは、―線部の直前とその前の段落と合わない、「先進国の人々にマイナス」とある選択肢を選びましょう。

答えは、エ「途上国」における服づくりが、「先進国」の環境を汚染している。となります。

 

2017年同志社香里より

―線⑥「これ」はどのようなことを指していますか。これより前の文中から二十字以内でぬき出しなさい。

→指示語を含む一文を読んでいくと、「これ」の後に「植林の木が育って、人工林が暗い空間を作るようになったことで、シカの食物が減り、シカの行動範囲が広くなった」という内容があります。ここから、「これ」の指し示す内容とは、「シカの増加と同時に起こったこと」であるとわかります。

―線部の直前だけを見ていては正解にはたどり着きません。―線部のある部分の前の段落の一番初めに「日本の農山村から人がいなくなったこと」とあり、それが「シカの増加とほぼ対応する」とあるので、答えであるとわかります。

 

2016年須磨学園より

―線部④「そういう状況」とはどのような状況ですか。文中の表現を用いて三十五字以内で説明しなさい。

→「そういう状況」の後に、「人類の消費生活により、人類に対する危険が問題視されるようになってきた」とあります。

この内容と合うものを、前の段落から探しますが、直接答えになりそうな部分は「それで人類の生活はよくなるという考え方、それでいいという時代」なのですね。

使えそうな部分にさらに指示語があるので、追いかけておきましょう。何によって人類の生活がよくなると思っていたのかというと、「無尽蔵のエネルギー資源を掘り出して使うこと」となるのですね。

これらの部品を組み合わせると、解答は「地球の無尽蔵な資源を使うことで、人類の生活はよくなると考えていた状況」となるわけです。

指示語の中に指示語が含まれるため、二段階に論理を組み立てる必要があるのですね。少しレベルが高くなりました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

指示語の問題も、前回述べた接続語と同じように、きちんとした論理で考えれば確実に正解できる問題が多いですので、得点源にしやすいです。言い換えれば、それは、間違えてしまうと差が付きやすい問題であるということです。

正しい解法を身に付け、得意分野にしましょう!

 

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お助け中学入試国語 ゆり