物語の細部読解part5「心情変化」
こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。
心情の変化をつかもう!
4回に分けて「心情」の細部読解についてお話ししてきました。
今回はその最終回である「心情変化」についてです。
我々は、一つの気持ちが心に芽生えると、ずっとその気持ちでいるわけではありません。
何らかの出来事が起こるたびに新しい気持ちが生まれていきます。
その繰り返しの先に、作者が最も伝えたいことである「主題」が描かれるのです。
主題にたどり着くためにも、また、直接心情の変化を問う問題に答えるためにも、しっかりと「解答の型」をつかみましょう。
前回までは、心情は以下の①〜③の順に流れていくということをお話ししました。
①理由となる出来事(本文中にある)
↓
②心情(本文中に直接書いていない)
↓
③心情表現(本文中にある)
心情の問題は、この③の部分に傍線が引いてあることがほとんどです。
そして、答えになるのは、③に至るまでの心情の流れ。つまり、①と②をセットにして書けばいいのですね。
心情の変化の場合は、これを応用した型になります。
心情変化の型とは?
心情の変化の問題のパターンは、大きく分けて三種類です。
一つは、文章中の二ヶ所を傍線部で示し、傍線部から傍線部へはどう変化したかを考えさせるもの。
もう一つは、文章中の一部分だけに傍線を引き、そこに至るまでの心情の変化を考えさせるもの。
最後に、文章全体や指定した部分の中での心情の変化を考えさせるもの。
どれも、型のパターンは同じですから、以下の型をしっかり頭に入れた上で記述できるように練習しましょう。
①理由となる出来事
↓
②心情語
だったのが、
☆〜ということをきっかけとして、
①理由となる出来事
↓
②心情語
となった変化。
以上のようにまとめるわけです。
具体的にすると…
「①友人に裏切られたと思って、②友人に対してにくしみを抱いていたが、☆実は自分を発奮させようとしてにくまれ役を演じていたことを知り、①自分の考えの浅はかさに気づき、②恥ずかしい気持ちへと変化した。」のようになるわけです。
これで92文字の記述ですから、心情の変化の問題は、かなり長めの記述になることがわかります。
子ども達が作る答案を見ていると、☆のきっかけを見つけられないことが多いですね。
記号選択問題になることもありますが、やはり記述の場合が多いですね。
初めから上記の型を知っておくことで、材料集めがやりやすくなります。
入試問題を使って
次に、入試問題を例に取り、上記の型に当てはめて解説してみましょう。
2016年和歌山信愛中
2016年の和歌山信愛中より。
〈II〉の場面における「少年」の心情の変化の説明として最も適当なものを次の中から選び、記号で答えなさい。
→心情の変化を記号で答えさせるパターンです。それぞれの選択肢が非常に長いので、全てを紹介することはせず、模範解答の内容を、上記の型通りに整理してみましょう。
「心のどこかで賭けチェスに対する違和感を抱えていたが、マスターと話すうちに、だんだん自分の罪の大きさに気づき、周囲の人々の気持ちを裏切ってしまったと、申し訳ない気持ちでいっぱいになっている。」
これを整理すると…
①「賭けチェス」をしていることに
↓
②違和感を抱える
↓
☆マスターと話をしてその罪に気づく
↓
①周囲の人々を裏切ったと思い
↓
②申し訳ない気持ちへと変化した
となるわけです。
2017年奈良学園登美ヶ丘中
次に、2017年奈良学園登美ヶ丘中より。
ー線⑧「またちょっと涙が出た」とありますが、それはなぜですか。九十字以内で説明しなさい。
→一ヶ所しか傍線がありませんが、制限が九十字と多いため、単に①→②だけを書いたのでは、説明が足りないとみなされそうです。
傍線部の直前の内容をもとに、以前はどういう気持ちだったのかをつかめばよいのです。
このように、字数制限から、学校が求めている模範解答の型が読み取れるのです。
模範解答を、変化の型にあてはめると…
①見た目が気持ち悪い生き物であるアメフラシと重ねられ、あだ名をつけられて
↓
②悲しかったが、
↓
☆ぱんちゃんがアメフラシは頭が良いと言ってくれ、
↓
①自分も認められているように感じて
↓
②うれしかったから。
となるわけです。
2016年東大寺学園中
最後に、2016年東大寺学園より。
ー部⑤「なぜだか、急に心細い気がしてきた。考えてみれば、こんな気持ちになるのは、島に来て以来、はじめてだった」とありますが、ここから読み取れる智希の気持ちの変化を一〇〇字以内で説明しなさい。
→心情の変化を答えよと問われたので、型がそのまま使えそうです。
「急に心細い気がしてきた」とあるので、以前は心細さを感じていなかったということがわかります。
後は、以上の内容と合う材料を探すだけですね。
「①知希は、街の不良仲間から離れて転校してきたので、②親しい友人がいないのが当然だと思っていたが、☆英治と正人の親しげな様子を見て、①親友を一人も持たない自分の状況を②不安に思った変化。」となります。
おわりに
いかがでしょうか?
どの問題も、心情の変化の型に当てはまっていることがお分かりいただけたでしょうか。
お子様が受験される学校の過去問で、心情変化の出題がある場合は、類題を用いて「変化の型」に材料を当てはめて答えを作る練習を繰り返しておきましょう!
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皆様とお子様が、笑顔で中学入試を迎えられますように。
お助け中学入試国語 ゆり