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文章構成 ー物語文part2ー

こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。

物語文の文章構成とは…

前回に引き続き、今回も「文章構成」についてお話しします。

四種類の構造をつかもう!

まずは、昨日の復習です。
物語は、その構造上、四つの種類に分類できるということをお話ししました。

①現実→非現実→現実
②非現実→現実→非現実
③現実→非現実
④非現実→現実

「現実」とは、我々が暮らしている日常の世界です。
「非現実」とは、フィクションでしかありえないような、ファンタジー的世界や、もともといた段階(現実)からかけはなれた違う段階(非現実)を表します。

現実→非現実

今日は、まず③「現実→非現実」のパターンのお話から。

中学入試の物語文では最も多いパターンです。
平成28年度東大寺学園の物語文を例に、紹介してみましょう。
福田隆浩さんの『幽霊魚』からの作問でした。

主人公は、父の転勤をきっかけに街の不良仲間から離れ、新たな気持ちで島に引っ越してきました。
とある日、一人で釣りをしていたところ、不意に二人の少年から声をかけられます。

主人公は、転校して一学期を過ごしても、クラスにとけこもうとするので精一杯で、まだ親友と呼べるような仲間がいるわけではありません。
少年たち二人の気心知れたような悪ふざけに近い言い回しや、一緒に釣りをする様子などから、主人公は少年たち二人の関係を羨ましく(直接は描かれませんが)思うようになるのです。
最後に、少年たち二人が主人公の元から去る時に、転校して以来の寂しさを感じる…というところで、引用部分が終わるのです。

転校して、まだうまく人間関係を作ることができない「現実」にいる主人公が、自分にない親友とも呼べる人間関係を持つ「非現実」に生きる少年たちと出会い、自分もその仲間に入りたいと思うわけですね。

非現実→現実

続いて、④「非現実→現実」のパターンです。
こちらも同じく、東大寺学園よりご紹介いたします。
平成27年度の物語文です。江森葉子さんの『ぐいん ーきよ、十三才の秋』よりの出題です。

主人公はまだ十一歳であるにも関わらず、母親の死によって進学を断念し、魚の行商をして家計を助けています。昭和十年ごろが舞台ですので、場面設定のつかみにくさがあります。

母親との思い出の詰まったリアカーを、つらい気持ちとともに引いている主人公。
かつてのクラスメイトからもひどい言葉をかけられ、魚も売れず、涙でぐしゃぐしゃになってしまいます。
すると、時計屋のおかみさんが主人公に声をかけます。
おかみさんは、全てを見越して、残った魚のほとんどを買ってくれるのです。
さらに、おかみさんは、お茶と羊かんを出して、主人公を休ませてくれるのです。
その優しさに、主人公の気持ちの抑えが外れ、声を上げて泣きじゃくるのでした。

十一歳にして魚の行商をするという「非現実」におかれた主人公は、おかみさんの優しさにより、本来の子供らしさを外に出せる「現実」へと戻ることができたのですね。

中心となる設問では「気持ちの抑えがはずれたとありますが、どういうことですか。主人公の気持ちの変化がわかるように、九十字以内で説明しなさい。」と聞かれるのです。
まさに、文章構成がわかっているかをズバリと聞く問題ですね。

おわりに

東大寺学園の物語文の怖いのは、以上のような構成をつかんでおかないと、記号も記述も、すべての問題で見当違いの答えを書いてしまう可能性があるところです。
この辺りは、今後の学校別対策の記事でお話ししたいと思います。

文章全体を少し高い場所から俯瞰する目を持った子なら、余裕で答えることができるのですが、一文一文を理解するのにやっとの子は、設問で弾かれてしまうのですね。

映画・漫画・小説・絵本…。
お子様が物語に触れるたびに、その物語はどのような全体像なのかを一緒に考えてみてあげてください。
きっと、それが物語文マスターへの道の第一歩となるはずですよ。

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お助け中学入試国語 ゆり