ゆりのお助け中学入試国語!

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記述問題part1「記述問題はカレーライスだ!」ー塾で教える解法、全部見せますー

こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。

みんなが苦手、記述問題!

これまでは、選択肢問題と抜き出し問題についての解法をお話ししてきました。
もしかすると、皆さんにとっては「お待たせ!」だったかもしれません。
今回からは、いよいよ「記述問題」の解法についてお話ししたいと思います。
講師をしていても、一番多いのが「記述問題が書けない」というご相談であるように思います。

しかし、少し考えてみて頂きたいのです。
お子様は、本当に記述問題だけが苦手なのでしょうか?
実は、他のところに原因があるのではないでしょうか?

今回は、そこのところを掘り下げてみたいと思います。

読解問題の正しいプロセスとは?

以前の記事でも述べたのですが、基本的には「記述問題だけができない」ということは考えにくいです。
なぜなら、記述問題に限らず、読解問題とは、次のようなプロセスで解きほぐしていくものだからです。

①答えの内容を推測する
②答えの場所を推測する
③本文から使えそうな場所をチェックする
④形式(記述・抜出・選択)に合わせて答える

上記の③までのステップを踏むことができれば、あとは見つけた場所を使ってまとめるだけなので、満点は取れずとも、部分点は間違いなく貰えるのです。
しかし、記述問題で、答えを書いているのにバツがついたり、白紙になったりしている場合は、④だけができないというよりも、①〜③の活動が正しく行われていないことが多いのです。

ですから、記述が苦手なお子様には、問題をしっかりと読み込んだ上で、①~③の手順を、まるで自転車の練習をするときに後ろを持ってあげて走らせるように、一つ一つ確認してあげましょう。
「どんな内容が答えになりそう?プラスか?マイナスか?」
「だいたいどのあたりにありそう?はじめかまんなかか終わりか?」
といった質問をして、誘導していくということです。

記述問題はカレーライスだ!

一読すると「なんのこと?」となるこの題名。
ですが、指導をしている時にこの話をすると、しっかりと自分の書いたものの弱点をつかんでくれるので、おすすめなのです。

2017年東大寺学園中の記述問題をもとに考えてみましょう。

(八)―線部⑧「光の先に手を振りながら、わたしは役者になったつもりでつぶやいてみる」とありますが、このときの「わたし」の気持ちを一〇〇字以内で説明しなさい。

答 「かつては、陸上選手としての将来が見えなくなってしまい、絶望していたが、彩乃が自分を演劇部に誘ってくれて、新しく夢中で取り組めることを発見し、失った自信を取り戻すことができたので、彩乃に感謝する気持ち。」(一〇〇字)

東大寺学園中の物語では典型例とも言える、主人公の成長・回復を描いた文章でした。
設問も、文章全体を通した主人公の心情変化を答えさせるもので、こちらも典型的だと言えます。
採点のポイントは…

①かつてのマイナスの自分の姿
②そのときのマイナスの心情
③心情変化のきっかけ
④変化後のプラスの自分の姿
⑤そのときのプラスの心情

大きく分けると、以上の五点であろうと推測できます。
物語の授業の作り方でお話しした、以下の図のような型で書けばよいということです。
f:id:masa2001to2002:20170803154428j:plain

ただ何となく書いていると、50字くらい書いたところで手が止まってしまうでしょう。

まずは、「気持ちを説明しなさい」という問題であるにも関わらず、制限字数が100字と多めであることから、「かつての自分」を対比的に記述することで、答えとなる気持ちをより強めればよいという発想をしましょう。
そこから、上記のような①~⑤の流れで書けばよいというアウトラインを作り上げ、①~⑤に合う材料を探せばよいのです。
カレーでいうところの、「玉ねぎ・ニンジン・ジャガイモ・肉・米・水・ルウ」がそろった状態ということですね。

次に、それを正しい順番でまとめます。
①~⑤の順番がずれてしまうと、説明の流れがうまくいきません。
カレーでいえば、「まず肉を炒めてうま味を閉じ込め、玉ねぎをきつね色になるまで炒めたうえで、ニンジンを加えて、ジャガイモは崩れやすいから最後に!」といった順序で調理する必要があるということです。

少し説明が足りない場合

例えば、ニンジンやジャガイモが入っていないカレーライスが出てきたら、皆さんはどう思われますか?
人によっては、少し寂しいと感じられるかもしれませんね。
でも、「金を返せ!」とか「作り直せ!」とまでは思わないでしょう。
たいていの人は、黙って完食しますよね。

これは、記述問題で言うなれば、「核となるポイントや、そのポイントの説明の中心は押さえられている」
という状態です。
格となるポイントやその説明の中心はあるけれども、あと少し説明を足せば、何のことかがよりはっきりわかる場合です。

「かつては、自分がやりたいことができなくなり、絶望していたが、彩乃が自分を演劇部に誘ってくれて、新しく夢中で取り組めることを発見し、失った自信を取り戻すことができたので、彩乃に感謝する気持ち。」

→10点中8点は間違いなくもらえる答案です。
ここまで書くことができれば、十分合格圏内と言えるでしょう。
「かつては、自分がやりたいことができなくなり」と書いたのですが、これだけでは何のことかがわかりません。肉体的にダメージを受け、陸上ができなくなった結果、演劇という新たなステージを得たという流れがつかめていないかもしれないと採点者に判断されるかもしれません。

重要な情報が抜けている場合

例えば、ニンジンやジャガイモどころか、玉ねぎも肉も入っていないカレーが出てきたとしたら、皆さんはどう思われますか?
出店などではときどき見かけますよね、ほとんどルーばかりのカレー…。
食べられないことはないし、一応カレーだから文句も言えないし、でも少し残念…という感じだと思います。
減点の度合いはより強くなります。

「かつては、けがをしてしまったことにより、陸上選手として活躍することができなくなってしまったのだが、新しく夢中で取り組めることを発見し、失った自信を取り戻すことができたので、彩乃に感謝する気持ち。」

→10点中6点といったところでしょうか。
「感謝する気持ち」という締め方は上手なのですが、その感謝をより際立たせるには、かつての絶望を表現しておく必要があります。
核を成立させるために必要な説明の中心が無い状態です。
絶望の度合いが強ければ強いほど、回復した時の喜びは大きいということですね。
記述の苦手な子がここまで書いてくれば、もろ手を挙げて喜んであげる!という感じの解答です。
算数が苦手で、国語が得点源の子であれば、しっかりと突っ込んで指導しないと…という感じです。

順番がぐちゃぐちゃの場合

材料が全てそろったカレーでも、調理手順がぐちゃぐちゃだと、それはカレーとは言えなくなりますね。
生煮えの肉、固いニンジン・ぼろぼろに煮崩れしたジャガイモ…。
考えるだけで、おいしくなさそうです。

「彩乃が自分を演劇部に誘ってくれて、絶望していたのが、新しく夢中で取り組めることを発見し、かつては、陸上選手としての将来が見えなくなってしまったのに、失った自信を取り戻すことができたので、彩乃に感謝する気持ち。」

→3点もらえればラッキーという感じです。
たしかに、材料は全て入っています。
しかし、アウトラインを決めずになんとなく思いついたことを書いていったため、順序がぐちゃぐちゃになり、読みにくいことこの上ありません。
「誘ってくれて、絶望」あたりは、誤解が生じるようになってしまっています。
こんな答え、書かないだろう…と、大人であれば思うのですが、なかなかどうして、小学生は結構このような答えを書いてくるのです。

核が抜けている・間違っている場合

例えば、カツカレーを頼んだのに、肝心のカツが乗っていなかったら?
商品を見た瞬間、「カツが無いよ!」と言うか、「金返せ!」と言うかのどちらかですよね。
もしくは、一見カレーだったが、食べてみるとハヤシライスだったら?
残念な気持ちは想像に難くありません。
大幅な減点が予想されますし、そもそも採点すらされない場合もあります。

「以前は、足に大けがをしてしまったので、もうこれ以上陸上選手として部活を続けることができないと医者に言われたため、残念な気持ちだったが、演劇という、足を怪我した自分でも活躍できる場所を発見することができたから。」
→採点基準が、「核が無くても、ポイントが入っていたら点数をあげるよ」という優しいものであれば、4点はもらえるかもしれません。
しかし、文末を「気持ち」ではなく「から」と間違えたことにより、問われたことの中心である「気持ち」が全く書けていないため、0点と判断される恐れもあります。
この場合は、国語が苦手得意にかかわらず、入念な指導が必要となります。
そもそも問題をしっかり読まず、何を答えるかを考えないままにとりあえず書いてしまっている場合が多いですから、「答えのしまい方」を決め、逆算して肉付けをしていくように話をしていきます。

おわりに

いかがでしょうか?
「記述問題はカレーライスだ!」という題意はご理解いただけたでしょうか。
実際の指導の場面で、「ビーフカレーなのに牛肉が入っていない!」とか、「具なしカレー!」とか言うと、結構すぐに自分の記述のダメな部分をつかんでくれるので、おすすめだったりします。
大切なことは…
・問われたことに合った材料集めをすること!
・集めた材料を、正しい順で組み立てること!

以上2点なのですね。
記述が白紙になってしまう子には、模範解答を先に見せて、模範の内容が本文のどこにあるかを見つけさせるといいですよ。
材料さえ見つかれば、あとはそれを組み合わせるだけですからね。

記述問題は、10点中10点を取らなくても別に構わないのです。
10点中8点が取れれば最高!10点中6点でも御の字!くらいに思って、とにかく「形にすること」をまずは目標にしてくださいね。
記述マスターに向けて、がんばりましょう!

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皆様とお子様が、笑顔で中学入試を迎えられますように。

お助け中学入試国語 ゆり