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記述問題part3「記述を採点するときは…」ー塾で教える解法、全部見せますー

こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。

記述の採点は大変だ!

今回は、記述問題の採点の現場からお話ししたいと思います。
前回、講師の目線でいえば、選択肢問題や抜き出し問題よりも記述問題の方が解くのが楽だとお話ししました。
これは、ある程度問題を解きなれた人であれば、すぐに理解していただけることだと思います。
選択肢問題では、「だいたいこの辺りが答だろう」と考えた内容と一致しているものを探し、落とし穴にひっかからないよう注意して判断するのが大変ですし、抜き出し問題ではそもそも考えた内容があるべき場所に見つからないこともあります。
しかし、記述問題であれば、自分が答えになると考えた内容をそのまま書けばよいわけです。以前からお話ししている、以下のような読解のステップ。

①答えの内容を推測する
②答えの場所を推測する
③本文から使えそうな場所をチェックする
④形式(記述・抜出・選択)に合わせて答える

選択肢問題や抜き出し問題と比べると、記述問題は、上記の④のステップが楽だということなのですね。

しかし、これが採点をする側の目線になると、記述問題の評価が変わります。
たしかに、受験生が本当の意味でその質問に対する答えが理解できているかを問うためには記述問題が一番です。
選択肢問題であれば、4~5択ですから、25~20%の確率で「なんとなく」正解できてしまいます。
また、抜き出し問題であれば、「~字でそのまま抜き出せ」という条件から、「~字で答っぽいところ」を機械的に探すだけで正解する場合があります。
記述問題は、見つけた材料を自分の言葉で再構成するため、本当に理解できたかどうかを確かめることができるのですね。
選択肢問題であれば、採点は楽です。
模範解答通り、ア~エの記号と合っていれば〇、違うものを書いていたら×です。
抜き出し問題も同じようなものです。
模範解答と、一言一句同じでなければ×をつけられます。
記述問題は、受験生が見つけた内容をそれぞれ自分の言葉で表現してくるため、採点者は、受験生が書いてきたものをしっかりと読み込まなければなりません。
これが大変なのです…。
採点には公平性があることが大前提になりますから、一文字一文字読み込んで、採点に間違いがないかどうかをチェックする必要があります。
中には、「いったいこの子は何を言いたいのだ?」と言いたくなるような、読みにくい答えもあるのです。
しっかりと構成された、模範解答に近いものばかりであれば楽なのですが、実際はそうではありません。
テスト採点の現場では、何百枚もの答案を前に、頭を抱える先生たちの姿を見ることができるのですね。

しかし、受験生に国語力があるかどうかを本気で確かめたいと思っている最難関校では、必ず練りに練った記述問題が出題されます。
それは、中高6年間の先の大学入試を見据えてのことです。
東京大学京都大学など、最難関大学では、記述問題ばかりが出題されます。
小学生の時点で、きちんと題意を読み取り、表現できる子であれば、最難関大学の現代文に立ち向かえるということでしょう。
採点の大変さは置いておき、きちんと表現できる子がほしい!という、中学・高校の先生方の思いの表れだと思います。

「国語は答えが一つじゃないから…」と言われることがあるのは、記述問題がある故ですね。
しかし、選抜が目的であるテストである以上、記述問題であっても答えは必ず一つなのです。

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左にあるように、模範解答と自分の答えが全くかぶっていない場合は問答無用で×です。
しかし、右の図のように、模範解答と自分の答えに共通点が少しでもある場合は、部分点をもらえるのです。

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右の図のように、模範解答とぴったり同じ内容を書けば当然〇になります。
しかし、左の図のように、模範解答の内容を含んでいれば、多少別の表現が入っていても〇になるのですね。
今回は、「模範解答とのズレを生む原因を前もって知っておこう」ということが目的なのです。

間違いの種類を知ろう

というわけで今回は、採点の現場で、答案に対して我々がどのように朱を入れているかをお話ししたいと思います。
どういうことをやらかしてしまうと、どれくらい減点されるのか。
受験生は、意外とこれを知らないまま問題を解いているのです。
採点基準を前もって知っておけば、ミスを回避することができます。
見えている落とし穴にわざわざひっかかることはないですからね。
しっかりと頭に入れていきましょう!

条件を守らない

まずは、「条件無視」です。
いろいろなパターンがありますから、まずは注意深く問題を読みましょう。
条件を無視してしまうと、それまでがどんなに正しいことを書いていても、一発で×にされ、部分点すらもらえないことがあります。要注意です!

・字数制限を無視している
→制限を超えるのはもちろんアウトです。
模範解答は、字数制限とほぼ同じ文字数で書かれます。ということは、その制限よりも大幅に少ない字数で書いてしまうと、そもそも書くべき内容が入っていないということになります。

・「~という言葉を使って」無視
→記述の核となるキーワードを問題で述べてくれているのに、それを使わない場合は一発アウトです。

・「本文中の語句を使って」無視
→このような表現が問題中にあるということは、「本文の中に、模範解答として使えそうな部分がそのまま存在しますよ」という作問者からのメッセージです。
これを、自分独自の言葉で表現してしまうと、×にはなりませんが、減点の可能性が高まります。

・「具体的に」無視
→記述問題の解答は抽象的にまとめて書くことが普通です。
そのほうが、端的に言いたいことを表現できるからです。
ですから、本文の具体性を保って記述してほしい場合、作問者は「具体的に書け」などの文言を入れます。それを無視してまとめて書くと、大幅な減点となります。

内容が足りない

そもそも、採点基準で用意された内容が書けていない場合。
模範解答が「普段は怒りっぽい先生が、今日は優しく、驚いた気持ち。」であるのに、
作った答が「今日は先生が優しかったため、驚いた気持ち。」であれば、前提となる通常の先生の姿が書かれていないため、一ポイント減点となります。
前回の記事でも書いたように、一ポイントは20字程度になるという目安と字数制限から、模範解答には何ポイントの採点箇所があるかを推測し、その数だけポイントを探すように心がけましょう。
www.otasukekokugo.com

口語表現・俗語を使っている

「うざい」「きもい」「なので」「~とか」「~じゃなくて」などの表現は、すべて減点対象となります。
書き言葉に慣れていない子はついこのような表現を多用しがちですから、注意が必要です。

言い換え前後の同表現

―線部に「身近な自然破壊を防ぐ必要がある」とあり、それを言い換える問題であるにも関わらず、作った解答に「身近な自然破壊を防ぐ必要がある」が入っている場合、言い換えをしていないため、減点となります。
この場合、「自然環境を守る」と反対に言い換えたり、「身の回りの自然環境が壊されることを阻止する」などと別表現にする必要があります。

比喩表現をそのまま使う

「私の心はまるでしぼんだ風船のように…」のように比喩表現が使われている文章中の部分を材料として使う必要があるとき、調理せずにそのまま書いてしまうと減点になります。
この場合、「落ち込んでしまい」といった直接的な表現に言い換える必要があります。

主述のねじれ

「太郎の夢は、しっかりと練習をすることで、プロ野球選手になりたい気持ち。」のように、主語と述語の対応がなされていない場合です。
必要な材料は全てそろっていても、減点されます。

ポイント同士の論理関係のズレ

「当日雨が降ったので、運動会が中止になり、残念だったから。」と答えるべきところを、
「運動会が中止になったため、雨が降り、残念だったから。」のように答えてしまうパターンです。
材料はそろっていても、全く意味不明になることが多く、×になる可能性が高いです。

文末表現のミス

どのような気持ちですか?→~な気持ち。~うれしさ。など
どういうことですか?→~こと。
なぜですか?→~から。
どういう性格ですか?→~な性格。
記述問題であれば、とりあえず「~から」と答えてしまう子が多いです。
減点の度合いは小さいですが、注意すれば防げるミスです。

誤字脱字

「見れる」などのら抜き言葉や、漢字の表記ミスなどがこれに当たります。
一か所あたり何点減点のように決められていることが多く、せっかくすべての材料をそろえてうまく構成しても、誤字脱字の累積で×になってしまうこともあります。

記述問題への対策

以上のような減点ポイントがあるのですが、このような落とし穴にひっかからないようにするためには、どうすればよいのでしょうか?
それは、「大人の目を通す」ことです!

模範解答は大人が作っています。しかし、解答を作るのは小学生です。
両者の間には、埋めがたい語彙力のギャップがあります。
「これは、表現は違うけど内容は同じだから〇」とか、
「この言い方は日本語としておかしい」ということは、大人と比べるとまだ語彙力の乏しい小学生には判断が難しいです。
ですから、次のような順序で学習を進めていただければよいのではないでしょうか。

①記述問題を解くとき、使用した本文の場所に線を引いておく。
②採点のとき、模範解答の内容が本文のどこにあるかをチェックする。
③自分が使った場所と、模範解答の場所が合っているかを確かめる。
④材料がズレていた場合、どう考えれば模範解答の材料にたどり着けるか、理由を考える。
⑤保護者の方もしくは担当の先生に、採点の仕上げを頼む。

このような正しいステップで採点をしていけば、だんだんと正しい日本語が身についていきますよ。

おわりに

いかがでしょうか?
記述問題は、とにかく何を書いたらよいのかがわからないと言う子が多いです。
おそらく、算数のように正解ががちっと一つに決まるのではなく、ばらつきがあることが原因だと思います。
しかし、正解にばらつきがあるということは、裏を返せば答えとして認めてもらえる範囲が広いのだということになるわけです。
ですから、記述問題だから、字数が多いからといって怖がらずに、どんどんと答えを作っていき、今回お話ししたような減点対象になっていないかを、大人の方と協力して探していただきたいと思います!
記述マスターに向けて、がんばりましょう!


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皆様とお子様が、笑顔で中学入試を迎えられますように。

お助け中学入試国語 ゆり