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選択肢問題part4「問題のレベルを見抜こう!」ー塾で教える解法、全部見せますー

こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。

選択肢問題のレベルを見抜こう!

いよいよ、今回で選択肢問題の解法が最終回となります。
これまで、「選択肢問題の作り方」「正答率」「選択肢を分割する」等のアプローチから、正誤を判断する方法を説明してきました。
今回は、選択肢問題の難易度についてのお話をしたいと思います。

これまでにもお話ししてきたように、我々が国語のテストを作るときは、様々な形式の問題を、様々な難易度で用意するように心がけます。
なぜなら、入試までにできるだけ多くの問題のパターンに親しんでもらうことで、対応力を高めておきたいからです。

ときに、「うちの子は記述が全然できなくて…選択肢問題なら正解するんですけど…」という質問をお受けすることがありますが、それは問題の本質がつかめていないと言えます。
読解問題を解くときは、
①答えの内容を推測する
②答えの場所を推測する
③本文から使えそうな場所をチェックする
④形式(記述・抜出・選択)に合わせて答える

という流れで考える必要があるので、④だけができないというよりも、①〜③の活動が正しく行われていないことが多いのです。

テストを作る我々は、受験生がこの①〜④のステップを正しく踏めるような作問をします。
その際、難しい問題にするときは、①〜④のどこかに落とし穴を用意するわけですね。
落とし穴を増やせば、当然正答率は下がります。
選択肢問題で正解する力をつけるには、その問題のどこに落とし穴があり、どのくらいのレベルなのかを知った上で、間違えた問題の直しをしていく必要があるのです。

選択肢のレベルはどう決まる?

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この表は、選択肢問題のレベルを確定するときに私が使用しているものです。
Aが最も易しく、Dが最も難しい問題ということです。
次に、項目ごとの説明をします。
「近」…答えの材料になる場所が、傍線部から比較的近くにある場合。近ければ近いほど難易度は下がる。
「遠」…答えの材料になる場所が、傍線部から比較的遠くにある場合。遠ければ遠いほど難易度は上がる。
「変化小」…選択肢の内容が、本文から見つけた材料とほとんど同じか、少しだけしか変化していない場合。
「変化大」…選択肢の内容が、本文から見つけた材料とはがらりと変わっている場合。具体化していたりまとめていたり、意味は同じだが別表現にしていたりといったバリエーションがある。
「消去法◯」…選択肢の部分ごとにケチをつけるところが比較的明確にわかるもの。最後の二つまで絞った後に、どちらか一方にバツをつけやすいもの。
「消去法✖️」…最後の二つまで絞っても、どちらかを決めかねるもの。明確なバツをつけることがしにくいもの。
以上のような点から選択肢を分析し、選択肢問題をADの四つのレベルに分類するのです。
Aは90%の受験生が正解するもの。
Bは70%の受験生が正解するもの。
Cは40%の受験生が正解するもの。
Dは正答率が20%を切るもの。
このように問題にレベルをつけると、テスト全体の正答率の予測を立てることができます。
例えば、ADまで、それぞれ5点の問題を5問ずつ用意すると…
A→5点×5問×90%=22.5点
B→5点×5問×70%=17.5点
C→5点×5問×40%=10点
D→5点×5問×20%=5点
となり、予測正答率は55点となるわけです。

入試問題に当てはめてみよう

この方法は、入試問題を分析する際にも役立ちます。
「自分の受験する学校は、難しい選択肢問題が多いが、消去法は有効だから、きちんとバツをつけよう」とか、「自分はこの学校の記述で得点できないが、難度も高いからしょうがない。その代わり、比較的易しいものが多い選択肢問題は必ず合わせよう」といったような、傾向と対策の分析に繋がるからです。
具体的に入試問題を使用して、選択肢問題のレベルを見ていきましょう。

レベルA

2016年龍谷大付平安中より
問5ー線③「特別な方策が必要」とありますが、その理由として最もふさわしいものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。
→ー線③をふくむ文の初めに「そこで」とあるので、「そこで」の前が理由となる。「根を地面にしっかり下ろして暮らしているので、何がおきてもそこから逃げるわけにはいきません」とあり、これと合う選択肢を見れば良い。
答えは「ア 植物はその場から動くことができないから。」である。
材料のある場所が傍線部から近く、選択肢の改変もあまりないため、レベルはAとなる。

レベルB

2017年関大第一中より
問3 ー線部①「ぼくはそこに使われている『フェア』という言葉が大好きだ」とありますが、それはなぜですか。もっともふさわしいものを次の中きら選び、記号で答えなさい。
→ー線部のすぐ後に「そこには」と指示語で始まる文がある。読んでいくと「『強弱』や『勝ち負け』の二元論を超えようとする意志が感じられるから。」とあるので、この場所が材料だとわかる。
解答は「エ 『フェア』という言葉には、相手との合意を前提にし、不釣り合いな関係を解消する姿勢が感じられるから。」であるが、材料の内容を大きく言い換えている。よって、材料は近いが選択肢の変化は大きいため、レベルはBとなる。

レベルC

2017年帝塚山中より
問8 ー6「ダニが生きていくためには、豊かさより確実さのほうが大切なのだ」とありますが、どういうことですか。その説明として最も適するものを、次の中から選んで答えなさい。
→「豊かさ」の説明は、前の段落の「匂いと体温と皮膚の接触刺激という三つだけ」という「みすぼらしさ」について述べた部分を自分で反対にして考えなければならない。つまり、「刺激をたくさん感じる」ということである。
「確実さ」の説明は、7段落も前にある「食物にありつくことができ」という部分であるため、かなり遠くに材料があるといえる。
解答は「エ ダニの生存にとっては多くの刺激を感じることより、限られた認知のなかで間違いなく食物にありつくことが大事であるということ。」となる。ウの選択肢と迷うが、前半に「刺激」の内容がないため、消去法が使える。よってレベルはCとなる。

レベルD

2017年神戸女学院中より
問八 ー線部⑦「子犬の匂いを嗅ぐように、やわらかな毛並に触れるように味わう」とはどのようなこと「表しているか、その説明として最も適当なものを選び、記号で答えなさい。
→ウの「美しく響かせる」や、エの「鋭くとらえ」は、ー線部のニュアンスと合わない。
ア「自ら奏でるピアノの音を、一音一音いつくしむように愛でること」と、イ「繊細な音の余韻を楽しむため、そっと静かに鍵盤をたたくこと」の二つは、どこかにはっきりとバツをつけることができない。
一方は◯で、もう一方は△になるような問題である。解説者泣かせである。
かなり前ではあるが、「大きな子犬と遊ぶよう」という表現があり、アとイのどちらがよりこの表現とぴったりかを考えると、アが正解と思われる。
材料が遠く、大きく変化しており、消去法も有効でないため、レベルはDとなる。

おわりに

いかがでしょうか。
ふだんはなんとなく解いている選択肢問題も、このような難易度の差があるわけです。
ですから、「選択肢問題だから解ける」というのは、国語の解き方の根本を理解できていないということになるのです。
入試問題にも、様々なレベルの問題があります。偏差値が高いからDレベルばかりが並ぶというわけではないのです。
受験生は、自分が受ける学校がどのようなレベルの選択肢問題を出題するかを前もって調べておき、対策を練っておく必要があるのですね。
そうしないと、問題の力を測りかねて、材料の見つけ方を間違えたり、考え過ぎて間違えたりといったミスが出てくるわけです。
今後の記事で、学校別・小問ごとに、レベル分けと解説を書いていこうと思っています。
お楽しみに!

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お助け中学入試国語 ゆり