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入試問題分析ー2017年西大和学園①ー

こんにちは!
お助け中学入試国語 ゆりです。

2017年西大和学園中の論説

今回は、2017年の西大和学園中の大問一を取り上げます。
西大和学園中は、関西の私立中学校の中でも、一番ともいえるほど様々な改革を行っている学校だといえます。
少しでも優秀な人材に自身の学校を受験してもらうために、そして、入学してくれた人材に良質な体験を積ませるために。
変化を恐れないその姿勢には、尊敬すらおぼえます。
今回も、各小問ごとにレベルを解説していきましょう。

2017年西大和学園中論説文の解説

和田秀樹さんの『日本人はなぜ嘘つきになったのか』より出題されました。
灘中高卒業後、東京大学理Ⅲへ入学・卒業。
精神科医として活躍しながらも、受験アドバイザーとして様々な著書がある筆者が、「嘘つき」になる心理を解き明かそうとします。
↓ぜひ、全文をお読みください。

まずは、文章全体の構成をつかみましょう。

「大阪のおばちゃんは騙されにくい」から始め、「関西にはストレートな物言いがカッコ悪い」と展開する。

単眼思考…物事の一面だけに目を向けて一つの正解を求める傾向
複眼思考…多種多様な側面から物事を捉える思考パターン

複眼思考を身に付けることで、情報の送り手の意図・動機を見極めることに力を注がなければならない

我々は自分で自分をだまし、自分に嘘をつくことがある。

疑う力を高め、ほかの可能性も考えられるような姿勢を身に付ける

西大和学園中の論説は、選択肢問題は比較的解きやすいのですが、記述問題はかなりの難度です。
選択肢問題を確実に正解することで、正しい文章理解を進めることで、本文全体の構成を理解しながら、記述問題を解くために必要な材料を見つけていく。
西大和学園は、毎年お手本のような入試問題を作成してくださるのです。
小問ごとに解説をしていきましょう。

問一の解説

=部あ~おのカタカナを、それぞれ漢字に直しなさい。(かい書で、ていねいに書くこと)

説が出てくるハイケイ
中学受験生であれば、一度ならずとも練習したことがあるでしょう。
同音異義語についても、それほど迷わないかと思います。
レベルはAです。

大人へと成長するカテイ
「カテイ」には、「課程・家庭・仮定・下底・過程」と、同音異義語が多めです。
特に「課程」と「過程」は使い分けを苦手とする子が多いです。
レベルはBです。

セケン話
小学生の生活と近く、迷わないでしょう。レベルAです。

キビしくなり
こちらも、絶対に正解したいです。
「のぶん」を使わず、「又」を書いてしまうことがあるので気を付けましょう。
レベルはAです。

徹底的に叩きのめすようないまのフウチョウ
中学受験生であれば、一度ならずとも練習したことがあるでしょう。
同音異義語についても、それほど迷わないかと思います。
レベルはAです。

問二の解説

( A )~( E )にあてはまる言葉として最もふさわしいものを、次の中からそれぞれ一つずつ選び、記号で答えなさい。

接続関係を見抜く問題です。
( A )の直後に「東京の家電量販店は」と、具体例が始まっています。
ここから、「たとえば」が入るとわかります。

( B )の直前に「言葉をそのままとるほうがアホだと思われる」とあり、直後に「相手の言葉をストレートに受け止めることは少ない」とあります。理由→結果となり、「だから」が入ります。
( C )の直前までは「相手の意図を見極める」という内容がありますが、直後には「ウソを見破ることは難しい」とあります。逆接関係ですから、「しかし」が入ります。

( D )の直前には「疑う力を高め、ほかの可能性も考えられるような姿勢を身につける」とあり、直後に「ウソに騙されなくなるだけでなく、思考や発想も豊かになる」とあります。
こちらも空欄Bと同じく、理由と結果のつながりですが、「だから」が当然の帰結を示すのと違い、「そうすれば」は読者にとって未知の要素が強くなります。

( E )の後には、それまでの内容がまとめられています。「要するに」が入ります。

いずれも、空欄の前後関係を正しく読み解けば正解できます。
材料は空欄の前後にとどまり、当然変化はありません。レベルはAです。
ただし、「同じ記号を二度以上用いてはいけません」という条件があることに注意しましょう。
これは、一か所を間違えてしまえば、ところてん式にどんどん間違いが連鎖していくことを意味します。
注意深く前後関係を読み解きましょう。

問三の解説

―部1「これに対して大阪は、表示価格から値下げをさせるというビジネスモデルが一般的だ。」とありますが、これは大阪の販売店のどのような考え方の表れですか。最もふさわしいものを次の中から選び、記号で答えなさい。

傍線部を言い換える問題です。言い換え問題の材料は、傍線部の直前や直後、もしくは同じ段落にあることが多いです。
なぜなら、傍線部の内容がわかりにくかったり、作問者がわかってほしかったりするから問題になるわけです。
それは、筆者も同じ。ということは、傍線部の言い換えた内容は、すぐに説明したくなるのが人情です。材料は傍線部の近くにある可能性が高いのです。
今回も、傍線部の直後が材料となります。
「大阪の人は、相手の言葉をそのまま受け取るということをしない」「関西には、ストレートな物言いがカッコ悪い…というような文化がある」とあります。
これと合うのは、エの「大阪では直接的な表現をするのは気がきいたやり方ではないと感じる人が多く、購入者も表示価格をそのまま受け止めずに値下げの交渉をしてくるはずだという考え方。」となります。
材料が傍線部と近く、さらに変化の度合いも少ないので、レベルはAです。

問四の解説

―部2「プライド」の意味として最もふさわしいものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

傍線部の直前直後から材料を見つけにくい問題です。
とはいえ、「プライド」の意味は、中学受験生であれば知っておきたいところです。
答はウ「自尊心」となります。レベルはA。正解したい問題です。

問五の解説

―部3「自分で自分を騙す、自分にウソをつく」とありますが、それはなぜですか。その理由として最もふさわしいものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

傍線部の直前に「このように」という指示語があります。
ここから、使うべき材料は指示語の直前にあると考えられます。
傍線部の中や、傍線部を延長した部分に指示語がある場合は、その先に材料があることが多いですから、必ず追いかけましょう。
今回は、指示語の前に「人間は何事に対しても疑うより信じたいという気持ちのほうが強く働く」という内容があります。
これと合う選択肢は、ウ「他人を疑ったり、その結果自分が騙されていることが分かったりするのが嫌だから」となります。
材料は傍線部と近いですが、選択肢の変化が大きめなので、レベルはBです。

問六の解説

―部4「冤罪や被害妄想などはその典型である。」とありますが、それはどういうことですか。その説明として最もふさわしいものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

ー線部の内容を言い換える問題です。
ー線部の中に「その」という指示語がありますので、直前の内容が答えの材料であるとわかります。
「しかし、どんな話も思い込みで決めつけてしまうと、疑う力は養われない。自分はウソを見破る能力が高い、絶対に騙されない、と自負している人ほど二分割思考に陥りやすく、誤った判断を下しやすくなる。」とあり、これが材料です。
選択肢は、以上の内容をかなりまとめた形にしているので、レベルはBです。
答えはイの「冤罪や被害妄想などは、社会がウソを許そうとせず、どんな話も思い込みで決めつけてしまうことによって引き起こされることの代表的な例であるということ。」となります。

問七の解説

【  】にはどのような言葉が入りますか。最もふさわしいものを次の中から一つ選び、記号で答えなさい。

空欄の前に、次のような図が挿入されています。

よくある目の錯覚の問題のように見えますが、実は今回はBの方をほんの少しだけ長くしてあるのです。
筆者は、「思い込んでしまうことで、正しい判断をせず、騙される」体験を読者にさせようと思ったのです。

「【 】という思い込みがあると、判断を誤りやすくなる。」とあるので、答えは「誤って思い込んでしまう」内容になると考えられます。
答えは、エの「錯視の問題だから答えは『同じ』に決まっている」となります。
空欄の前の3行と図を正しく読めば答えはわかります。
レベルはAです。

問八の解説

筆者は「ウソに騙されない」ためにはどうすればよいと考えていますか。本文全体をふまえて六十字以内でわかりやすく説明しなさい。

条件に「本文全体をふまえて」とあることから、材料は本文全体に散らばっているのだというメッセージを受け取ることができます。
また、六十字以内という条件から、材料は3つ〜4つはありそうです。
さらに、「騙されないためにどうするべきか」という問題ですから、本文には「〜すべき」「〜ので騙されない」「〜が大切だ」「〜が必要だ」などと書いてある部分に材料がありそうだとわかります。

以上の内容をもとに、材料を探しましょう。

①関西人は文化的に「複眼思考」が自然に養われる…騙されにくい気質と関係している
②複眼思考とは、多種多様な側面から物事を捉える思考パターン
③(ウソを見破る)そのためにも疑う力を身につけることが大切だ
④疑う力を高めるためには、自分の信じていることさえ疑って、ほかの可能性も考えられるような姿勢を身につけることが必要だ

以上の材料をまとめ、六十字以内に収めましょう。
答えは「相手の言葉を疑う能力や複眼思考を養い、自分が正しいと信じていることさえ疑って、ほかの可能性も考える姿勢を身につける。」となります。
材料が四ポイントと多めで、本文全体に散らばっているので、難度は上がります。
しかし、それぞれのポイントの変化は少ないので、レベルはCです。

おわりに

いかがでしょうか?
西大和学園は、漢字や語句問題、選択肢問題は比較的易しいものが多いです。
傍線部の前後をきちんとつかめば正解できるので、確実に合わせていきましょう。
記述問題は、他の問題と比べると、かなり書きにくいものになっています。
問題分析を行い、文章全体の理解をもとに材料を集め、得点力のある解答を作る練習を重ねて下さいね。
赤本や過去問題集をもとに、しっかりと対策をして行きましょう!


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